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2022年7月20日更新
日本のメディア・アートのパイオニアである藤幡正樹氏と、グローバルな日本文化研究に取り組んでいるマイケル・エメリック氏をゲストに迎え、ゲームをはじめ、昨今生活の様々な場面で取り入れられているAR(拡張現実)をテーマにしたトークイベントを開催します。
両氏が手がけた、全米日系人博物館(ロサンゼルス)で現在開催中の「BeHere/1942」などを例に、歴史展示の取り組みやARの可能性についてお話いただきます。
日 時 |
2022年7月23日(土)15:00~17:00 |
会 場 | 国際交流留学生プラザ多目的ホール *要事前申込(会場が変更となりました) |
講 師 | 藤幡正樹(メディア・アーティスト) |
モデレーター | マイケル・エメリック(UCLA教授、早稲田大学教授) |
使用言語 | 日本語 |
対 象 | お茶の水女子大学学生・附属校生徒・教職員 |
申込締切 | 2022年7月22日(金)12:00
以下のURLもしくはQRコードよりお申し込みださい。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScRxaHDx4jkNayzzvKGNpvC4-eXD2Q4qATt66MMeUuw6L2vPg/viewform 定員(40名) に達し次第締切りとなります。 |
共 催 |
「伝統芸能×未来」プロジェクト(JPAF) コンピテンシー育成開発研究所比較日本学教育研究部門 |
協 力 |
柳井イニシアティブ |
問合せ |
dentogeino@cc.ocha.ac.jp 「伝統芸能×未来」プロジェクト(JPAF) |
担 当 | 埋忠美沙(コンピテンシー育成開発研究所 准教授 ) |
優れた芸術作品は、世界をより良く見えるようにしてくれる。より良くというのは何かを付け加えるということではない。見えていたはずなのに見えなかったものが、見えてくることを言うのだ。それは違いに気づくことから始まるが、そのためには比較する事物=芸術が必要である。芸術という人工物は、気づきの経験をもたらすものなのだ。ARは、拡張現実感と呼ばれ、現実世界に情報を追加表示する技術とされ、見えている対象の意味や背後にある歴史といった情報を、現実世界の上にオーバーラップして表示する。しかし、この程度の利便性に、生きる上ではいったいどんな意味があるというのだろうか。情報が増えるばかりでは、世界はより良く見えはしない。
そこで、唐突なのだが80年前に撮られた写真について考えてみる。写真とは、世界の上に世界のコピーを塗り重ねるという道具である。写真に記録されることで、移動可能になり、保管が可能になり、拡散されて広まることになるのだが、世界はよりボヤけて行くことにならないか?ボヤけていかないためには、芸術が重要な役割を果たす。芸術作品というのは現実のコピーではなく、現実に対する批評を含んでいるからだ。
AR技術を使って、写真に撮られた過去の出来事を再創造するという仕事をした。写真を通して、時間の中にある歴史をどう読み解くかについて考えてみたい。
藤幡正樹(メディア・アーティスト)
日本のメディア・アートのパイオニア。80年代はコンピュータ・グラフィックス、90年代はインタラクティブアートやネットワークをテーマにした作品を制作。その後、GPSを使ったフィールドワークシリーズを展開。現在は、ARを扱ったBeHereを継続中。1996年、アルス・エレクトロニカ(リンツ、オーストリア)で日本人初のゴールデン・ニカ賞を受賞、2010年文化庁「芸術選奨」文部科学大臣賞、1989年から慶應義塾大学環境情報学部、1999年東京藝術大学、2005年大学院映像研究科の設立に参加。東京藝術大学名誉教授。2017年はオーストリアのリンツ美術大学、2018年は香港バプティスト大学、2020年はUCLAの客員教授。
マイケル・エメリック(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授、早稲田大学教授)
日本文学研究者、翻訳家。1975年ニューヨーク生まれ。コロンビア大学で博士号を取得。『源氏物語』『伊勢物語』などの古典から現代文学まで幅広く研究。また、柳井イニシアティブ(UCLA、早稲田大学)のディレクターとして、グローバルな日本文化研究に取り組んでいる。 主な著書は『The Tale of Genji: Translation, Canonization, World Literature』、『てんてこまい―文学は日暮れて道遠し』。翻訳作品は、高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』、松浦理英子『親指Pの修行時代』、川上弘美『真鶴』(2010年度日米友好基金日本文学翻訳賞受賞)、古川日出男 『ベルカ、吠えないのか?』他多数。