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コペンハーゲン大学(デンマーク)より 2024年1月

2024年1月22日更新

  1. 大学生活について

①授業について:戦後日本の社会や文化に関する授業と、私の専門であるジェンダーやセクシュアリティに関わる授業の2つを履修しました。コペンハーゲン大学は2時間一コマになっていますが間に15分の休憩があるため、実質90分授業と変わらない形でした。どちらの授業も先生と学生の双方向のやりとりをしつつ知識をインプットしていく形になっており、学生の意見表出が積極的で大変刺激を受けました。ジェンダー&セクシュアリティの授業は、ゲストスピーカーの方が時折来てくださり、デンマークでの性教育やLGBTQ支援団体の現状や課題の認識が出来たことが非常に有意義でした。また日本社会の授業は、戦前・戦中の日本の欧化政策や植民地支配について欧米の視点からバイアスを取り払って考察するという興味深い経験が出来ました。また、日本の大学も取り入れるべきだと思ったのは双方向の評価システムです。お茶大も現在、学生からの期末の授業評価システムはありますが、提出した課題について先生から詳細なフィードバックをいただくことはめったに無いと思います(特に期末レポートなど)。コペンハーゲン大学では学期中にも授業評価があったり、提出した課題のフィードバックを先生が授業中に行ってくれたりなど、双方向のやりとりが確立されていると感じました。そうすることで学生にとっては成長の道筋が明らかになり成長が促進されるし、さらに授業が改善されるため、ぜひ取り入れるべきだと思いました。
➁予習について:毎回20~30ページほどの文献を各授業の予習で取り組まなければならず、最初は一言一句理解しようと頑張っていましたが、そうすると時間が無限にかかってしまって非常に効率が悪かったです。よって、やっていくうちに、精読よりも「重要そうな箇所を探して読む」という粗読み・速読のほうが身についてきたように思います。
③課題について:日本社会の授業は学期中に4回の課題提出、ジェンダー&セクシュアリティの授業は期末に15枚ほどのレポートを提出しました。分量が多く大変ではありましたが、筋の立て方、論理の主張の順番等が非常に細かく説明され、「レポートの書き方の作法」をしっかりと頭に入れた状態で取り組むことが出来たと思います。

2. 生活面について

留学に来る前に私自身が疑問に思っていたことについて答える形で記載しようと思います。
①天候(冬はどのくらい寒いのか?):現在真冬まっただ中ですが、気温は大体-5度~暖かい日で5度くらいです。確かに寒いのですが、雪はあまり積もりません。寒さよりも、やはり日照時間が短いことのほうが身体にはこたえます。ビタミンDのサプリメントを飲んでいる人が多いため、私もそれに倣って飲むようにしています。逆に夏は23~5度で大変過ごしやすいですが日の入りが22時ほどになるのでこちらも生活リズムが崩れやすくて大変でした。
➁治安:私の肌感覚では東京よりは安全だと思います。深夜でも出歩くことが出来るし、痴漢等の性暴力については全くと言って良いほど気にしなくて良い環境です。また、デンマークの人々は基本的に優しく、最初はデンマーク語で話しかけてきても私がデンマーク語が話せないと分かるとすぐに英語に切り替えてくれます。
③物価:外食は高いですが、スーパーで食材を買ってきて自炊するぶんには東京と変わらないと思います。高いのは肉魚、卵等で、野菜や果物、パンは日本に比べると安価です。また、電車等の交通費も日本に比べると高価であるため、できる限り自転車を使うようにしていました。自転車は交通ルールが少し複雑でハンドサインなどを使わなければならないため最初は慣れるのに時間がかかりました。

3. 滞在国のプチ情報

こちらにいる間に、百日咳(のようなもの)とインフルエンザA型にかかりました。医療費が無料の国にせっかくいるのだから病院に行ってみようと思い、百日咳のときに行ってみたのですが、診察は無料ではあるものの薬にお金がかかるということで拍子抜けしたのを覚えています(しかも薬は非常に高価でした・・・)。診察も基本的には予約制で、加えて簡易的(のどの腫れを見て聴診器をあてる)だったので、基本的なスタンスとしては「寝て食べて自分で治してね」であるということを強く感じました。この件から、医療費が無料というのは決して良い面ばかりでは無く、身近な医療の質は日本の方が高いかもしれないと学びました。ただこのシステムに感謝したのは、低用量ピルを貰いに行ったときです。避妊や妊娠の相談等に特化したクリニックがあり、低用量ピルは3ヶ月まで無料で貰うことが出来ました。気軽な感じで足を運べるクリニックだったので、日本にも「産婦人科未満」な相談場所のようなところがあれば、特に若い世代が相談しやすくなるのでは無いかと感じました。

4. クリスマス・年末年始の過ごし方

クリスマスはデンマークのご家庭に訪問する機会に恵まれ、家庭での伝統的なクリスマスを体験しました。まず23日にツリーの飾り付けを行いました。なんとツリーは生のもみの木だそうで、デンマークはヨーロッパの南の方の国にツリーを輸出する産業が盛んであることを教えて貰いました。24日には教会に行き、クリスマスの歌を歌いました。まさに日本の初詣のように、その地域に住む老若男女が集って司祭の方の説教を皆で聞くという光景は、私にとって非常に興味深いものでした。デンマークはそこまで宗教色が強くなくクリスマスくらいしか教会には赴かないそうなので、そういった点で日本の宗教観と似たところがあるのではないかと思います。そしてクリスマスイブの夜は、豚肉のロースト(フレスケスタイ)やキャラメライズしたジャガイモ、ミルク粥(リセアラマン)など伝統の料理をいただきました。そして、デンマークでは24日のうちに皆でプレゼント交換を行うらしく、夫婦同士でも子どもから親にでもプレゼントを用意し合う文化はとても素敵だなと感じました。伝統がつまった家族の静かな時間というクリスマスとは対照的に、お正月は若者がどんちゃん騒ぎをするという印象で、街中には花火が次々とあがり、出歩くのが危ないくらいでした。日本から持ってきたお餅を食べたりお抹茶を飲んだりと、ゆったりとしたお正月を過ごしました。

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【クリスマスにいただいた料理とイルミネーションが美しい町並みの様子です。】

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